ホーム>社説・コラム>社説 2000.11.16(火)19:03

ついには「炭入り冷麺」まで

 工業用の炭の粉を使った冷麺が全国に出回ったという。食べること自体が恐ろしい世の中だ。食品医薬品安全庁が当局に告発した業者は食用として使うことのできない工業用の炭の粉を冷麺とマックッス(韓国のそば)の原料に混合して販売した。炭の粉の量がなんと5590キロにもなるというのだから多くの人達が「炭入り冷麺」を食べたことになる。こうした有害食品を食べても死ななかったことを幸いだと思わなければならない嘆かわしい国に私達は住んでいる。

 有害・不良食品の製造販売行為は国民の命を害する悪質な犯罪であるにも関わらず、根絶はおろか更に蔓延している傾向にある。今年の夏、鉛入りカニ・鉛フグ事件が起きた際、食品医薬品安全庁は「不良食品申告電話」を全国に開設し、「不正、不良食品中央取締り班」を発足させるなど、取締まりに乗り出したが、輸入食品をはじめ農薬だらけの野菜までが至る所に隠れていた問題を処理するには全く力不足だ。更に経済状況が悪くなり、不良・有害食品不法製造など民生犯罪が経済危機の時のように急増するのではないか心配だ。

 「鉛入りワタリガニ」、「水を飲ませたアンコウ」「硫酸入りごま油」、「農薬栽培大豆モヤシ」、「色を塗った魚」、「鉄の粉を混ぜた唐辛子」、「殺虫剤をかけた高麗人参」、「発がん物質を使ったムク(ソバ、ドングリなどの粉末をゼリー状に煮固めた食品)」など「殺人的な食品」が横行する実状は恐ろしいばかりだ。それだけでない。原産地や賞味期限をだます「詐欺」も蔓延している。

 輸入牛肉や農産物を韓国産牛肉や国産に変え、更には学校の給食に変質した食品を供給する例まで摘発されているのが実情だ。「実態を知っていれば食べられない」という言葉が実感できる昨今の世相だ。

 こうした行為は一言で韓国社会全般に広まった「モラルハザード」に起因する。至る所で不法融資と収賄事件が発生するなど、国内政治が揺れ、日用食品にまで有害物質を混入する破廉恥なモラルハザードが作用している。このままだと韓国の食べ物全てが、食べ物ではなく毒薬になるかもしれない。政治が民生を優先し、行政を確立することが急務だが、「良心不良」が蔓延する世態はどう正すべきか分からない。

 政府は国民が安心して食べられるよう、行政力を集めて検査と取締まりを徹底し、有害・不良食品を製造・流通させた悪徳業者には最高の重罰を加え、根元を断つべきである。消費者もそのまま被害を被るのではなく、腕をまくって乗り出すべきだ。食品問題一つ安心させることのできない政権と行政当局が気を引き締めるよう生存権を守るべきだ。市民運動はこうした時に必要なのだ。







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