ホーム>社説・コラム>社説 2002.08.02(金) 19:52


ソウル地下鉄の“ごまかし”

 ソウル地下鉄公社が地下鉄駅内の空気汚染度を測定するとして、測定地点を乗客の多い乗降場ではなく、改札口や切符売り場、駅の事務室などで行っていたことは、市民と社会を相手に詐欺行為をしたも同然だ。  
   
 これまで地下鉄公社が独自に、または専門会社に委託して測定した主な地下鉄駅の空気汚染度は、乗客の健康には何ら問題のない“良好”な水準だった。それがこのような測定地点の操作による結果なら、それは犯罪のレベルだ。しかも電気を節約するという口実で、空気の濁った駅舎に設置された空気浄化用の換気扇の稼働を中止するよう支持したことは、正気の沙汰とは思えない。  
 
 ソウル市が今年2月に発表したソウル地下鉄と地下商店街の空気汚染に関する実態では、14の駅舎と地下商店街4カ所だけが微細粒子の基準を超過しているとされているが、この統計も信頼できなくなった。  
 
 環境がかなり改善したと錯覚する人が多いが、実際、汚染実態は極めて深刻だ。「環境持続性指数(ESI)」において、韓国は今年、142カ国中136位を記録した。特にソウルを中心とする首都圏の大気汚染は、さらに深刻だ。OECD(経済協力開発機構)の加盟国と比較する際、健康に致命的な微細粒子が4倍、窒素酸化物は1.5倍も高い。環境問題がこれ以上野放しにできない絶体絶命の課題になっているのは確かだ。  
 
 しかし虚偽情報や誤った資料では、効果ある環境対策を立てることができない。改札口で地下鉄駅舎の微細粒子数値を測り、古宮や学校内に“都心大気測定器”を設置して、水道の栓でなく、浄水場で水道水の汚染度を測定するようでは、有効な改善策を見込めない。このままだと、2012年末までソウルの空をOECD加盟国の平均並みにするという政府の「青い空21」計画も看板倒れに終わるだろう。





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