ホーム>社会 記事入力 : 2004/06/11 18:56


【食品不信A】製造現場に「衛生」はなかった

 ほとんどの人たちが深い眠りについている11日午前3時。

 ソウル都心の裏通りにあるスンデ(豚の腸詰)製造会社のA食品には明るく電気がつけられていた。ゴム手袋と長靴姿の40代の男性職員が機械を使って豚の腸にご飯と春雨などを詰めていた。

 職員の指先を通って出てきた5〜6メートルもの腸詰めが、そのまま床に散乱している。職員はそのスンデを長靴で踏みながら工場内を歩いている。記者の目を意識したのか、ある職員が「床はいつも洗剤で掃除しているし、(スンデ)は蒸して食べるので衛生上問題はない」と話した。

 この職員はゴムのたらいに汲んでおいた水で手を洗い、少し後、スンデを煮ている大きな釜にこのたらいの水を入れた。夜が明ける頃、完成したスンデは近くの食堂などに次々売れていった。

 同じ頃、ソウル近郊にある小さなカマボコ製造工場。騒音のひどい老朽した機械は黒い油で汚れていた。魚と小麦粉で作った四角いカマボコが機械から出てくると、その上に油がまかれ、汚れたローラーに移される。ローラーの側には新品の大豆油が積まれていたが、ローラーとカマボコの間の油はいつのものかと思われるようなこげ茶色だった。

 「大豆油はもともとこういう色」と職員は弁解したが、大豆油はサラダ油の色とほとんど変わらない。もう1人の職員は「最近のような天気では、防腐剤を添加しなければ(カマボコは)半日ももたないため、別途の“添加物”を入れる」と耳打ちしてきた。

 カマボコはこの日午前、トッポッキ(餅をコチュジャンと野菜などで炒めたもの)専門店や粉食店にすべて納品された。
 この日午後訪ねたソウル近郊のスントゥブ(絹豆腐)製造工場も衛生状態が悪いことこの上ない状態だった。少し前まで豆腐が作られていたと見られる機械には、餌を求めて飛んできたハエが飛び回り、機械の上の部分にはクモの巣まで張っていた。

 しかしこれらの工場を管理および監督するはずの区庁(日本の区役所にあたる)の職員は、「完成したカマボコに防腐剤を入れるのは食品衛生法違反」とし、「最近、このような工場はすべてなくなっている。昔のことだ」と話した。

 食品医薬安全庁(食薬庁)関係者もやはり、「地方ならともかく、ソウルでは非衛生的な業者はあまりない」と言い切った。

しかし、この日会ったパク某(62/食品会社経営)さんは「衛生検査は1カ月に1回、業者側が区庁にサンプルを送る形で行われるため、製造過程での問題は容易には摘発されない」とし、政府の取り締まりを嘲笑った。

 生ゴミ餃子の製造業者のリストが発表され、市民の怒りが爆発してから1日が経ったこの日。
 
 政府は各種の食品安全対策とともに、有害食品製造事犯に対する処罰を大幅強化するという案を打ち出したが、食品製造会社の“現場”は何ら変わりがなかった。

カン・フン記者nukus@chosun.com
キム・ジュン記者kjoon@chosun.com
チャン・サンジン記者jhin@chosun.com



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