「生ゴミ」原料納品の２社から餃子輸入

　韓国で腐った大根などを材料にした餃子が製造されていた問題で波紋が広がっています。問題の材料が納品されていた餃子製造メーカー２５社のうち、少なくとも２社の餃子が日本に輸入されていたことが分かりました。

　腐った大根の山に茶色に濁った水。韓国のソウル郊外にある餃子の具の工場内の様子です。工場には現在、鍵がかかっていて中に入ることはできません。工場の中には既に人がいませんが、今もモーターのような音が聞こえてきます。
　
　韓国では業界最大手という会社の工場ですが、実は極めて不衛生な環境で餃子の具が製造されていたことが分かったのです。使われている水は古井戸からくみ上げた汚水。そして、餃子の具には腐った大根のカスが使われていました。裏手の方に回ると完全にカバーがされていて、工場の中の様子をうかがい知ることはできないようになっています。
　
　韓国政府は問題の餃子の製造会社や材料の大根のカスを卸していた「たくあん」会社など６社を摘発。さらに１０日、この工場の具を使っていた餃子製造メーカー１２社を公表しました。つくられた餃子は４年半でなんと６億個にも上っていたことが判明し、韓国では生ゴミ餃子問題として大きく報道され、市民には怒りが広がっています。
　
　「家にあった物は全部返品しました。腹が立ちました」
　「あきれました。不安ですよ。最近は餃子を食べなくなりました」（ソウル市民）
　
　韓国の屋台の人気メニューは韓国版餃子のマンドゥクで１皿１００円です。しかし、ゴミ餃子の問題で、１日あたり３０００人来ていた客が１００人にまで激減した店もあります。
　「私はおいしい餃子を作っていました。だからよく売れていたのです。突然、生ゴミ餃子が出てきたので、まじめな人間まで被害を受けています」（店主の男性）
　
　そして、問題は韓国国内にとどまりませんでした。問題の餃子メーカー１２社のうち、少なくともジンヨン食品とチョンイル食品の餃子が日本に輸出されていたことが明らかになったのです。日本に輸入されていたジンヨン食品の餃子の表示には「豚肉、ニラ、長ネギ」などと書かれていますが、大根の文字は見えません。しかし、日本の輸入業者は念のために店頭から回収し、廃棄することを決めたといいます。
　
　腐った材料の餃子を食べるとどんな危険があるのでしょうか。
　「サルモレラ菌、キャンピロバクター、大腸菌などいろいろありますが、下痢、おう吐、発熱を伴う場合もあります。重傷の場合、水溶性下痢が血性になり、ひどい人は脳症も・・・」（慶応義塾大学の海老原 良典 医学博士）
　
　また、日本の餃子専門店は風評被害を心配しています。
　「我々は餃子命で商売していますから、腹わたが煮えくりかえるくらい腹が立ちます」（『餃子の王将』新宿店の小仁所 俊幸 店長）
　
　韓国からの冷凍餃子の輸入は年間およそ８６０トン。「生ゴミ餃子」は今のところ確認されていませんが、厚生労働省は輸入業者に対し、問題のメーカーの製品かどうかを調査し、報告するよう求めています。（11日 17:52）